【29】アダルト・ピアノ―おじさん、ジャズにいどむ

アダルト・ピアノ―おじさん、ジャズにいどむ
井上 章一

発売日 2004/06
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最近また「もしもピアノが弾けたなら」熱が再発中…
情操教育のかけらも施されることなく育てられてきた幼少時代.今考えるとピアノくらい習わせてくれていてもよかったのにと思ったりもするけど,授業としての音楽は苦手というよりも嫌いな科目の筆頭だった.中学校のころは「みんなのうた」を本を引き裂いてゴミ箱に捨て,音楽の先生に泣かれたこともあったし,高校では芸術は選択科目だったので,当然のことながら音楽は避けて書道を選択した.いわゆる体育会系バカだった.
大学生になってから美術館や演劇に足を運ぶようになったのは,あまりにも芸術的な部分が欠落していることに劣等感に似たものを感じていたからだと思う.でも,この本に書かれているように,「もてたい!」という意識もあったかも.美術館できれいな女性と偶然出会い,ある絵について語らう・・・なんてありない妄想を膨らませることもなかったわけではない.妄想癖なら誰にも負けないくらいの自信はあったけど,この著者はその上をいく.
でも私がピアノを習いたいと思ったのは,もてたい!というのものではなく,ジェーン・カンピオン監督「ピアノ・レッスン」を見た影響だ(もう10年くらい前).ホリー・ハンターが弾くピアノ,正しくはマイケル・ナイマンの楽曲がとてもきれいだったからだ.マイケル・ナイマンのCDを買い(もちろん「ピアノ・レッスン」のサントラも),カシオの安いキーボードを買い,「ピアノ・レッスン」サントラの楽譜を買い,『楽典』も買った.トヨタ「クラウン」のCMではマイケル・ナイマンの「ANOHITO NO WALTZ」が使われていたが「クラウン」は買えなかったのでCDを買った.バイエルもしばらく続けたけど,当然ながら長続きしなかった.
ショパンの練習曲10の3ってなんだか分かる?「別れの曲」と聞けば,あーそれねと思う人は少なくないと思います.そして思い出すのは『101回目のプロポーズ』.本の中に以下のようなくだりがあります.

私は,ピアノを八年もやっているが,こんなのにいどうもうとは,思わない.楽譜を見ただけで,はじめからあきらめている.中年からの学習者がたどりつけるような曲では,ぜったいにないのである.これを四十二歳の係長がマスターするという設定には,無理がある.しかも,彼は会社づとめの合間に,これを習得したというのだ.私はとうていうなずけない.

ドラマを見て習い始めたおっさん方,大勢いるだろうね.そのうち今現在続いている人はどれくらいいるのだろうか.きっと上手になっているんだろうね.老人ホームでのスターは確約されています.

「ANOHITO NO WALTZ」はココで視聴できます.

映画はこちら↓を

ピアノ・レッスン

発売日 1998/01/21
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